ニット素材というと、普通は産地や品質のお話になるのですが、
Grandolf Dollsのこだわりは、別の視点です。

私がどう素材にこだわり、
なぜ販売とチャリティーを絡めているのかを、
ここを見て下さっている貴方にお伝えしたいと思います。
長くなりますが、残酷な写真や描写は登場しませんので、
安心して最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

* * *

自称、動物好き

私は元々、動物好きでした。

でも昔は知識が乏しくて、
毛皮のコートも持っていたし、靴もカバンも革製品と決めていました。

ところがある時、何気なくみていたネット記事で
毛皮がどうやって作られているのかを気付かせてもらってから、
自分の行動を改めました。

今は意識して選択することを覚え、
食肉として犠牲になってもらっているんだからせめて代替のあるものくらいは、と
毛皮、皮革製品、動物実験された化粧品などは買わないようにしています。

かといって貴方に強要するつもりはありません。
自発的な気付きがあって、理解して初めて行動に移せるものだと思います。

 

毛糸は優しいという思い込み

こんな私がニットデザイナーの伯母のもとで編み物を習い始めた頃は、
毛糸は羊から毛を刈るだけだし、命を奪うわけではないから、
動物に優しいハンドメイドだと安心しきっていました。

ある日、いつものように教室で新作のための毛糸を選んでいた時のこと。

私「やっぱりキッドモヘアよりベビーモヘアですよね~柔らかさが違う。」
教室の方「キッドは子供、だっけ?」
私「そうですね、キッドは子供、ベビーは赤ちゃん…」

で、ふと疑問が沸くわけです。

(そっか、ベビーモヘアって赤ちゃんから採ったモヘアだ。
…赤ちゃんって保温が大事なのに毛を奪っちゃったらダメじゃない?)

 

毛糸の現実

帰宅して調べていくうちに、知らなかった現実をいくつか学ぶことになりました。

  • ウールを多く採るために人間が手を加えてきたメリノ種は、仔羊のうちにミュールジング(ミュールシングともいいます。どんな行為かはここでは記述しませんのでお調べください。)という酷い扱われかたをしていたこと。でもミュールジングをしなかったら仔羊は別の辛い思いをしてしまうこともあるということ。
  • じゃあオーガニックウールなら大丈夫かというと必ずしもそうではないこと。
  • メリノ種に限らず羊たちは私たちがイメージするような平和な生活を送っているのではないということ。
  • ウールに限らずアンゴラなど「極上品」の素材となっている動物たちが残虐な扱いを受けているケースがあること。

知ったからには見過ごせません。
「ベビー」「キッド」を冠した素材やアンゴラは今後買うのをやめるとして、
せめてノンミュールジング(ミュールジングしていない)ウールを選ぼうと、
日本最大手の毛糸メーカーさん(ぶっちゃけハマナカ)にも問い合せてみましたが、

『素材に関しては業者から買っているだけなのでミュールジングされているかどうかまでは知らない、調べようがない。』

という内容の回答でした。

「うわーっ、これ、気楽に編み物できんじゃん!!」

 

Cruelty-Free

海外にはCruelty-Freeという製品のカテゴリがあります。
クルエルティーフリーと読み、
動物を傷つけたり殺したりするような残酷性がない、という意味です。

ヴィーガンブランドのシャンプーや化粧品などには明記されていて、
これを選べば大丈夫、という目安になっているのですが。

毛糸のなりたちと相反するからなのか、
ニットの世界ではCruelty-Free相当のものにはお目に掛かれません。

ほとんどがウール何%としか書いていない。
オーガニックの表記はあっても、Cruelty-Freeとまでは書いていない。
そもそもオーガニックウールがとても少ない。

大事に育てて負担にならない程度に毛を刈り取らせてもらう、って
商業ベースでは出来ないのかなぁ。

悶々としつつ調べても、満足のいく答えは見つかりませんでした。

 

動物愛護 VS 品質

動物に優しいはずの編み物、
その裏に存在した闇の部分にどう対処するかが、
動物好きの自分にとってのシリアスな問題になりました。

これまで私を指導してくれた伯母には返しきれない絶大な恩があるので、
動物愛護に反するからという理由で編み物を辞めるわけにはいかず。

今後素材として購入するのは、

  • 化繊&植物繊維中心にする。
  • 動物素材を使う必要がある場合はオーガニック・ノンミュールジングと明記されたウールのみ。

というCruelty-Freeに基づいた制限をつけて、編み物を続けていく決心をしました。(Cruelty-Freeの毛糸を扱っているメーカーさんがあったら是非教えてください。)

 

手持ちのウールをどうするか

今後の方向性は決まった。
しかし困ったのは、もうすでに買ってしまってある毛糸の山。

それらはほとんどが高価な高級毛糸で、
高品質なウール、アンゴラ、アルパカ、モヘアなどの動物素材です。
当然ながらどこにも「Cruelty-Free」とは書いてありません。

(Cruelty-Freeではなくて使えないからと捨てるのは言語道断。)
(かといってただ保管するのも毛をくれた動物たちに申し訳が立たないような…)
(うーん…)

 

動物たちへの「お返し」

何年も迷いながら、やっと最近決めました。

「既に持っている動物素材の毛糸は、無駄に保管せず、
それで作品を制作し、売り上げを動物たちへ返そう。」

毛をくれた動物に直接返せればいいけれど、実際問題無理なので、
人間のせいで辛い目にあっている動物たち全般を対象にします。

さしあたりGrandolf Dollsのアイテムのうち、minneで販売するものについて、

  • 既に持っていたウール糸を使用したものは売り上げの3割
  • ノンミュールジングウールを使用したものは2割
  • 化繊糸を使用したものは1割

を指定の動物愛護団体へ寄付していきます。

本当はもっと割合を上げたいところですが、
minneに支払う手数料、私個人が手作業で作るコストや経費等を考慮して、
私が無理なく活動を続けられるのはこれぐらいだろう、という視点で決めています。

寄付先、金額については別の専用ページにてお知らせしていきます。

 

人間でなく、人形

最後に。
私は人間サイズのニットも作っています。
でも敢えて商品をドールサイズに限定しているのは、
保温性も燃性も、考慮しなくていいから。
ドールなら化繊だろうが何だろうが問題なく、可愛く着こなしてくれる。
彼女たちは、使用素材を制限した私の活動にとって最高のパートナーです。

ウールで作った暖かそうな帽子や、
アンゴラモヘアで作ったふわっふわのマフラーや、
アルパカで作った手触りのなめらかなセーターなんて、
どれも作れて当たり前。
もともとが「良い素材」なんだから。
でも、そういう「良い素材」は、本来動物たちの身体を覆うべきもの。
彼らから有無を言わさず剥ぎ取っていいものではないはず。

動物たちから奪わずに、動物たちを傷つけていない素材を堂々と使って、
「可愛い!」「買ってよかった!」と喜んでいただける作品を作るのが、
今の私の目標です。

一個人の地道な活動ですが、
Grandolf Dollsというドールニットブランドを介して、
ドールオーナーさんも、ドールも、動物も、みんながハッピー!
…な世界を目指していこうと思っています。

 

私の作品をお求めにならなくても構いません。
この記事がきっかけになって、
日常生活の中でCruelty-Freeを選んでいく仲間が増えれば嬉しい限りです。

大変長くなりました、最後までお読みいただいてありがとうございました。

 

2017.10.27 Grandolf Dolls